総務省 研究会「ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会」に関する分析

今日は生産的なことをしていないので、総務省の研究会の分析をしてみる。「ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会」を分析してみる。
※資料が多すぎて、結局分析までいたれなかった。

ソースは以下のページからの情報を参考にした。

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict-machi/index.html


■研究会の目的
ICT技術を用いて、諸課題(少子高齢化、生産年齢人口の減、東日本大震災からの復興等)を目的としている。

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_02000025.html


■検討内容
(1)ICTの現状と今後のICTの進化の方向性
(2)ICTを活用した新たな街づくりの在り方
(3)ICTを活用した新たな街づくりの実現に向けた推進方策・グローバル展開方策


■構成員
以下に構成員の分類を示す。構成員の中で三鷹市長が選定された理由が目的と照らし合わせても不明。どのような基準で選定されたんだろうか。

商社系幹部(不動産や保険業含む)、シンクタンク系幹部、大学教授(情報系)、市長

http://www.soumu.go.jp/main_content/000136892.pdf


■研究会の期間
平成23年12月から平成24年6月までを目途




■第1回 会議(平成23年12月16日(金) 15:00〜16:00)
資料は以下を参照
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict-machi/02tsushin01_03000077.html

○【資料1−3】ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会の今後の進め方(案)に関するまとめ及び分析
・特に特徴のない資料で目的とスケジュールのみを記述している。
【コメント】
・スライド5で国民からの意見をインターネットを通じて募集とあるが、マスコミも報道しないし、このような公募の仕方では特殊な人の意見しか集まらない(まあ、いつものことであるが。。。)。


○【資料1−4】ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会:第1回会合資料(石原構成員説明資料)に関するまとめ及び分析
東京海上日動火災保険株式会社取締役会長による資料である。
東日本大震災を経験したことによって、クラウド(データ保存、復旧スピード観点)やノマド化(職場の復旧スピード化)が重要であることが証明された。
地域活性化としてのICTの役割に記述されている内容は一般的なことが記述されていた。
・震災関連技術は海外に売れるかもしれない。
【コメント】
・この資料はおもしろくない。ただ、震災のときに対応を頑張ったことはわかる。
地域活性化としてのICTの役割に記述されている内容は一般的なことが記述されているが、SNSで地方と都市間連携ができると記述されている部分は疑問が残る。


○【資料1−5】都市の「持続可能な成長」のマネジメントにむけて(岩沙構成員説明資料)に関するまとめ及び分析
三井不動産株式会社代表取締役会長による資料である。
・大都市の一極集中は激甚災害のリスクが高いものの、それ以上の利得があるものとして成長してきており、今後も継続する。
・大都市の諸問題があるので、社会全体で連携しICTを利用し解決していかなければいけない。
・ICTを利用して解決したものを被災地・海外に「まち丸ごとパッケージ輸出」を図る。
【コメント】
・「まち丸ごとパッケージ輸出」はなかなかおもしろい。


○【資料1−6】「ICTを活用した新たな街づくり」に向けて(小宮山構成員説明資料)に関するまとめ及び分析
・株式会社三菱総合研究所理事長による資料である。
・インフラの被災状況など総務省が提出するべき情報を記述している。
・震災直後はツイッターはあまり効果がなく、放送型メディアが効果があった。
・電話は固定・携帯共にだめだが、公衆電話は活用された。
・スライド32のユーザニーズはうまくまとめている。
BCPのためにクラウドは必要。
【コメント】
・資料がめちゃめちゃ長い。会議が1時間ということがわかっているのか。
・スライド2の率先実行の勇気、本質を捉える知、他者を感じる力に疑問を感じた。まず、貴社がインターネットが始まったときに率先していたのかを確認してみたい。
・インフラの被災状況は民間企業の資料として書いても(総務省が一番詳しいし)意味がない気がする。
ツイッターはうそ情報も多いので、激甚災害の避難などリアルタイムに対応するものには向かなさそう。
・公衆電話は本当に震災のときに使えたの?固定電話よりましだと思うが。。。
・震災のときには情報飢餓状態になるので、電源確保が永遠の課題。


○【資料1−7】ICTを活用した街づくり 情報連携とBig Data分析を基礎にした新たな地域社会の創造(須藤構成員説明資料)に関するまとめ及び分析
東京大学大学院情報学環教授による資料である。
・ICT活用のためには既存のデータを連携すべきである。(マイナンバー精度に近い?)
・電子秘書的なものを利用して、薬の飲み忘れ対策等もこれからできる。
クラウドを活用しよう。
【コメント】
・スライドの日本語が長く、資料として読みにくい。図で表現しているものもデザインがよくない。
・Big Dataなどさすが大学教授。旬なテーマを選んでいる。しかし、RDBのようなデータと非定型データをごちゃまぜにしてスライドに記述している。他の構成員が素人だからわざと?


○【資料1−8】ICTを活用した新たな街づくり 〜スマートネットワーク社会をめざして〜(徳田構成員説明資料)に関するまとめ及び分析
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長 兼環境情報学部教授による資料である。
・U-Japanの説明とICTの歴史説明(RFIDなど慶応が主導してきた案件含む)
・SensingCloudの説明
・センサーを街づくりに利用すると防災計画やゲリラ豪雨等に使える。
・世界ではロボットのための道路が存在する。(ゴミ掃除用?)
【コメント】
・大学教授の資料らしく、最新技術のいろいろな事例紹介が主になっている。いい資料になっている。


○【資料1−9】ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会(第1回)に向けて(清原構成員提出資料)に関するまとめ及び分析
三鷹市長による資料である。
・人口密集地帯では、防災無線は向かない。よって、違う方策をいろいろ準備した。
・ホワイトスペースの活用が必要。
・災害時は高齢者やその自治体に住民票がない人に対しても帰宅困難者であるため対策が必要。
【コメント】
・”ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会(第1回)に向けて”の”に向けて”はその会議で提出する資料として日本語がおかしい。
・今の情報伝達に何が問題で、ホワイトスペースで何を新しくしたいのか不明。
・資料の中身も特にない。


○【資料1−10】ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会(第1回)への提出意見(村上構成員提出資料)に関するまとめ及び分析
・株式会社野村総合研究所シニア・フェローによる資料である。
・本研究会を進める上でICT技術を提供する目的であるグッズドミナント・ロジックではなく、ICTのサービスと街づくり主体が共創しようとするプロセスとみる、サービスドミナント・ロジックとして考える必要がある。
・街づくりとICTを繋ぐプラットフォームの基本的要件を提示することにも注力すべき。
オールジャパンではなく、外国資源も含めた全体最適解を見つける必要がある。
【コメント】
・今回提出されている資料の中で一番良い。
・私もグッズドミナント思考に陥っていたことがわかって非常に良かった。



○総評
まず時間が一時間しかないのに、10資料(意味がありそうなのは8資料)もあるのに驚いた。しかも、一つ一つボリュームがでかい。資料は事前に読み込んでおきディスカッションをする形式なんだろうか。

ほとんど皆、同じような資料になっているので人的リソースや時間が勿体無いので総務省が事前調整をすべき部分だった気がする。

資料【資料1−5】、【資料1−8】、【資料1−10】が良かった。



■第2回 会議(平成24年2月21日(火) 10:00〜12:00)
資料は以下を参照
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict-machi/02tsushin01_03000090.html

○資料2−1 ICTを活用した街づくり 情報連携とBig Data分析を基礎にした新たな地域社会の創造 (須藤構成員説明資料)に関するまとめ及び分析
東京大学大学院情報学環教授による資料である。
・第1回に提出された資料と同じ。時間切れ?


○資料2−2 情報通信技術革新とICT街づくり (村上構成員説明資料)に関するまとめ及び分析
・株式会社野村総合研究所シニア・フェローによる資料である。
・ICTの歴史と経済動向
・街づくりの課題とICT活用 1 (居住環境や都市機能の向上)
・街づくりの課題とICT活用 2 (都市の産業振興)
・街づくりの課題とICT活用 3 (都市インフラの高度化)
【コメント】
・27スライド目までは、前回良い資料を書いていたのでがっかりしていた。しかし、スライド27〜31の提言はなかなか良い。


○資料2−3 ICTを活用した新たな街づくりの基本的考え方について (徳田構成員報告資料)に関するまとめ及び分析
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長 兼環境情報学部教授による資料である。
・街づくりの課題紹介
・海外での事例
【コメント】
・議論の土台となる資料となっており、非常に良い資料になっている。


○総評
前回と違い、資料レベルがかなり高まっていた。
しかし、若干議論が発散しそうな内容なので、取り纏めがきっちりしないといい提言にならない。総務省の担当者さんにがんばってもらおう。
ちなみにマイナンバーとか関連しそうだけど、個人情報などのプライバシー問題についてどのように整理するつもりなんだろうか。